2020/05/02
以下をアップしました。
結婚式のスピーチのテクニック的なお話ですが、ここでは、主題となっている介護・福祉業界に関連する内容を。
福祉現場に身を置くと、当初は「誰かの役に立ちたい」「支援したい」という思いで関わり始める方が多いと思います。しかし、時間を重ねるほどに、多くの人がある大きな転換点に出会います。それが、「自分こそが支えられているのではないか」という気づきです。
他者の生き方が「鏡」となる
病気、障害、老い――そこには、計画通りにいかない現実があります。それでも、その中で笑い、悩み、必死に今日を生きようとする姿は、支援者にとって“自分の生き方”を映す鏡になります。
> 「生きているだけで、すごいことなんだ」
> そう教えてくれたのは、支援を受ける側の人々だった。
無力感が教えてくれる、人と人との関係
福祉の現場では、すべてを解決できるわけではありません。手の届かない苦しみに直面し、言葉を失うこともある。けれど、そんな中でそっと手を握ってくれた利用者の手の温かさが、自分を立ち直らせることもあるのです。
> 「ありがとう」と言われたときより、「あなたがいてくれてよかった」と言われたときに、支えられている自分を実感する。
「共に生きる」ことの本当の意味
福祉の世界では、「対等」という言葉の意味が深く問われます。援助者と被援助者ではなく、「共にいる存在」として関わること。それは、専門職としての技術や知識を超えて、人間としてどう向き合うかという本質に近づく行為です。
その視座は、誰もが持つべき「生き方の軸」
「支えていると思っていたけれど、支えられていた」。この気づきは、福祉現場だけに限らず、家庭でも、職場でも、地域でも、人が人と関わるすべての場において大切なことです。
> 「助ける側」と「助けられる側」は、固定された立場ではなく、絶えず入れ替わる関係。
この視座に立てば、私たちはもっと素直に、もっと優しく、他者に向き合えるのではないでしょうか。