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介護職から見た親への共感と肯定、ストレス減少

time 2020/02/18

介護職から見た親への共感と肯定、ストレス減少

前回は、

「親があなたに寄り添うのではなく、あなたが親に寄り添いましょう」
「あなたが大好きないつもの親は今もいてくれている、という事実によって、親に共感し、親を肯定することができます」

というお話でした。

親に共感し、親を肯定するテクニックなどない、残念ながら。

 
今回は、共感すること、肯定することが、あなたよりも難しい立場にある人の体験を紹介し、あなたが親への共感・肯定をしやすくする助けにしたいと思います。

共感・肯定が難しい立場の人とは、すなわち、介護の職業に就いている人です。
あなたとの一番の違いは、介護職の方は、自分の親ではない多数の高齢者の方のサポートをしているという点です。

「親だから」という腹立たしさを抑えるための理由を持たない彼らは、心の奥底では、きっと、子供が親に感じるイライラとはまた違った、もっと重い心的負担があるはずです。
「それが仕事だから」という理由だけでは、毎日、高齢者のある種のとっぴな言動に笑顔で、優しさを持って対応することはできません。

彼らもまた、利用者(=高齢者)に共感し、肯定しようとしているのです。

 
さて、今回登場するのは、高齢者福祉施設で施設介護・在宅介護、ケアマネージャーを経験している現役の介護福祉士さんです。

彼がどのようにして、利用者に共感し、肯定しているのか、ストレスを感じるのはどのようなときなのか、どのように円滑なサポートを実現しているのかなど、その体験・気持ちを見てみましょう。

 
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みなさんは高齢者の「円滑なサポート」と聞き、どのようなイメージを抱くでしょうか。

結論から言ってしまえば「千差万別」で、一概に「これが理想的な介護です!!」とは言いきれません。利用者さんもご家族も介護者も人が変われば性格やケアの方法も変わってくるからです。

しかし、私がひとつ言えるのは介護者が利用者さんに対して共感・肯定ができていないと「円滑なサポート」は実現しないということです。

 
私も今でこそ、「共感・肯定することが大切です」と言っていますが、最初からそれができたわけではありません。むしろ全くの逆で、共感や肯定のことなど考えずに日々の介護業務に追われ、感じていたストレスを笑顔という演技で隠しながら利用者さんのケアをしていました。

今回は、そんな私の体験談を交えながら、感じていることや考え方、ケアの方法が変わったきっかけなどのお話しさせていただきます。

 
無資格、未経験で特別養護老人ホームに就職して3年ほどたったころの話です。私の考え方を変えるきっかけとなった出来事が、ある夜勤の日に起きました。その日は休む間もなく鳴り続ける利用者さんからのナースコールと、何度も繰り返すトイレ介助、眠れない認知症を患った利用者さんの対応と、忙しく走り回っていました。
私の働いていた施設のフロアでは、こういった忙しい夜勤はよくあることだったのですが、3年働いてもその忙しさに慣れることができずストレスはたまる一方でした。

そんな中、認知症を患ったある利用者さんへの対応の際にその出来事は起きました。

何度、寝かしつけても眠れずに起きてこられる利用者さんに私のストレスは爆発してしまったのです。私は強い口調で「もういいから寝てください!!」と言ってしまいました。それは自身の未熟さがそうさせたのですが、その時はもう気持ちがいっぱいでした。言ったすぐ後に、「しまった・・・」と気づき、表情を作り変えて利用者さんの対応をしましたが、もう後の祭りです。その利用者さんは気持ちが落ちつかなくなり、朝まで眠ることはありませんでした。
私はその利用者さんへの対応を含め、忙しいまま朝を迎え疲れ果ててはいたものの「このまま、ストレスをため込みながら働いているようでは自分がもたない」とこの失敗をきっかけに思うようになりました。

今のまま、ストレスを感じながら介護の仕事を続けるのは難しいと感じた私は考え始めます。何かをしないと利用者さんに暴力でも振るってしまうのではないかと怖さすら感じていました。

まず、私が始めたのは同僚に仕事の愚痴を言うことでした。けれど、これは上手くいきませんでした。ストレスの根本は介護の仕事のハードさであって、その根本が解決しないまま愚痴を言っても、その愚痴がエスカレートするばかりだったのです。むしろ、自分の中にどろどろとした嫌な感情が増すばかりでした。
自分にはこのやり方は合わないと感じ、愚痴を言ってストレスを解消するということはやめにしました。

次に、私はストレスの根本は何なのかと考え始めます。考えた結論は「利用者さんに振り回されている」という自分の仕事のやり方でした。そして、振り回されないために利用者さんの考え・気持ち・行動を「想定」するということが大切なのではと考えたのです。
利用者さんを「見る」「話す」「感じる」ということを通して「知る」ことを始め、そこから想定をするようにしました。

これを始めたことで、少しずつですが、私の中のストレスは減っていきました。想定することで、利用者さんの行動を先読みして、「ケアの準備」と「心の準備」ができるようになりました。準備ができているので、たいていのことは想定の範囲内と思えるようになり、利用者さんに振り回されることは大きく減り、スムーズに対応できることが増えたのです。

この頃から、介護の仕事に対して達成感や満足感を感じるようになりました。気持ちが前向きになり、利用者さんへのケアもスムーズにできるので心にも余裕が生まれます。余裕があるので利用者さんを「あるがまま」受け入れて、肯定・共感といったことができ始めたのです。
この変化は私をさらに変えていきました。利用者さんと一緒に楽しんだり、喜んだり、時には悩んだり、涙したりと感情を共にすることができるようになって、関係に深みが生まれ始めたのです。気づけば、以前に感じていたような激しいストレスを感じなくなっていました。

これは、私が施設や在宅で高齢者への介護をサポートしながら感じていることですが、無条件で初めから肯定・共感をすることは難しいということです。介護職員はもちろん親子であってもそれは同じなのかなと思っています。とは言え、介護を仕事としている者と比べて、家族であるからこそ親への気持ちをコントロールしにくい一面もあると思います。

もし、そういったことで悩んでいるのであれば、考え・気持ち・行動を「想定」するという行為・考え方を、少しだけ自身に取り入れてみてはいかがでしょうか。そうすることで心に余裕が生まれ、親への肯定・共感がしやすくなり、介護の悩みやつらさは小さくなり良いほうに形を変えていくと思います。

以上が、私が感じていたストレスと失敗から学んだ「こんな介護のやり方もありますよ」という話です。よければ参考にしてみてください。

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