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終末期にある寝たきりの高齢者~緊急性の高い事案~

time 2020/06/16

終末期にある寝たきりの高齢者~緊急性の高い事案~

高齢者の介護に関わる仕事をしていると、普通に暮らしていては経験できないような事態を目の当たりにすることがあります。
思わず心が温かくなるようなほっこりとしたお話もあれば、命に関わる緊急性の高いケースもあったり。

そこで今回は、実際にあった「緊急性の高い事案」と、それを通じて見えてくる「介護をする時に気をつけたい3つポイント」についてご紹介しようと思います。
 

 
ある日の午後、とある男性(息子さん)からお電話で、次のようなご相談をいただきました。
「最近、父の状態が目に見えて悪くなってきているんです。すぐにでも、介護のサービスを利用するとか、何かしないといけないと思っているんですが…、ただ、私にはそういった介護の知識がなくて、困っているんです。」

詳しくお話を聞いて情報をまとめると、深刻な状況が見えてきました。
お父様のご年齢は80代半ば。賃貸のアパートで独り暮らしてしており、息子さんが時々顔を見るために訪問しています。しかし、この1ヵ月くらいの間に体が動かせなくなってきて、現在はベッドから起き上がることもできず、お風呂にもトイレにも行くことができない、いわゆる寝たきりの状態になってしまった。介護認定を受けていないことから、現在は介護サービスの利用もしていない状態とのこと。

この状況からまず感じたことは、「緊急性の高い事案」、言い換えれば「終末期にあるケース」ではないだろうか、ということです。
ほぼ寝たきりの状態であるお父様を、息子さんはたった一人で、介護の知識がないなりになんとかしようしているのですが、手に余っていることは一目瞭然でした。

また、寝たきりになってしまった原因がわからないことが気になりました。ひょっとしたら、何か大きな病気が原因かもしれません。

そもそも、介護とは「生活を支援すること」です。介護の分野の者が行う生活の支援とは、病気などを含めて、心身の状態がある程度落ち着いていることや、適切な医療によるケアが施されている状態で行われるものなので、このお父様の場合は、医療によるケアが重要な場面であると想像できました。

そこで、救急車を使ってもよいのですぐに医療機関に受診したほうがいい、と息子さんにアドバイスをしました。しかし、息子さんは少し驚きつつも、何かひっかかるものがあるようです。聞けば、お父様は、息子さんの付き添いで定期的に受診しているのですが、もともと気性が荒いこともあり、医療従事者に触れられることを極度に嫌がってしまう。病院のスタッフもお手上げに近い状態、とのことでした。

息子さんのお気持ちもわかります。周りに迷惑をかけてしまうことを、申し訳なく思っているご様子でした。でも、今回のお父様の状況は緊急事態である可能性が高いです。寝たきりの状態になった原因を知るためにも受診したほうがよいこと、介護についてはお父様の状態が落ち着いたあとに考えた方がよいことをお伝えしました。

その後、息子さんはかかりつけの病院に連絡をとり、お父様と一緒に受診。そこで医師から、お父様は終末期(ターミナル期)と言える状態であるとの診断をされました。

 
『介護』の視点で今回のケースを見る

実際のところ、このような緊急性の高い事案は時々あります。
今回は、息子さんがお電話をくれたことが幸いでしたが、もし、お電話でご相談をいただかなかったとしたら、お父様はだれにも看取られることなく亡くなっていたかもしれません。

今回のケースを『介護』という視点で見てみると、自宅で高齢の親を介護する場合に気をつけたいポイントがいくつか見えてきます。

 
ポイント① 高齢者の体調管理

高齢者の体調は変化しやすいものです。実際の介護の現場でも、
「昨日まで元気だったのに、翌日には体調が急変した」
「1週間のうちにみるみる状態が悪くなり、寝たきりに近い状態になってしまった」
などの急な変化に至るケースがあります。なかには未然に防ぎようのないこともありますが、これらの変化には、予兆と言えるものが存在することもあります。

例えば、「いつもより飲食の量が少ない状態が続く」「風邪をひいて体調がすぐれない」などです。もっと大きく言えば、「いつもより元気がない」ことも予兆である場合もあります。

もし、こういった状態が見られるようであれば、普段の様子と比較してみましょう。そして、「明らかにおかしい」と感じた場合は、すぐにでも病院を受診したほうがいいでしょう。あるいは、普段から体調の起伏を繰り返す方の場合は、「様子を見る」という選択肢もあります。

いずれにしても、大切なのは「普段の様子との比較」です。明らかにおかしいと言えなくても、介護者が不安に思うのであれば受診することをオススメします。仮に受診の結果、「異常なし」と診断されても「なんともなくてよかった」と安心することができます。こういったことを理由に受診することは、決して恥ずかしいことでも、無駄なことでもないんです。

 
ポイント② 介護者の介護能力

「介護能力」と聞くと、食事の世話や排せつの介助といったことが頭に浮かぶかもしれません。また、介護に必要な視点や考え方と思う人もいるでしょう。しかし、今回のケースから学び、チェックしておきたいのが「介護者がどれだけ親の介護に必要な環境を整えているのか」という能力です。

今回のケースでは、メインとなる介護者は息子さんです。もし、彼の周りに頼りにできる相談役がいれば、もっと早くに適切な対応ができていたかもしれません。

介護の業界では「介護は決して一人でできるものではない」とよく言います。どれだけ親のことをよく知り、かゆいところに手が届く介護ができるとしても、一人の力では限界があるんです。困った時に相談できる環境を整えておくことも、介護能力の一つと言えます。

親の介護をする場合には、直接的な介助をする能力を磨くだけでなく、かかりつけ医や地域の民生委員、介護の専門家、近所の知人など、相談できる相手づくりにも目を向けてみましょう。

 
ポイント③ 介護が必要となる将来を親と一緒に考える

2018年の時点での日本人の平均寿命は、男性が81.25歳、女性が87.32歳で、男女とも過去最高を更新しています。一方、最近メディアなどで耳にする機会の増えた「健康でいられる寿命(健康寿命)」は、平均寿命よりも下になってきます。

つまり、だれであっても介護を必要とする時はやってくる、と考えておくべきなんです。そして、「親子で介護を必要とする生活について話をしておく」ということがとても大切で、重要なポイントになってきます。

今回のケースに当てはめて考えてみると、お父様が終末期に至る前、まだ元気なうちに、息子さんと一緒に「介護が必要になった時には、こんな生活がしたい」、「こんなサービスを利用して自宅での生活を続けたい」などを、少しずつ、深刻になりすぎなくてもよいので、話し合っておくとよかったのではないでしょうか。

そうすることで、お父様は今後の生活を思い描き、介護を必要とする生活を受け入れる準備ができますし、息子さんはメインの介護者になるために必要な介護能力を準備する時間を持つことができます。
また、お互いに話をしておくことは、事前に合意形成をすることにもなるので、仮にお父様に相談に応じる力がなくなり、息子さんが介護について悩んだ時に判断を下すための基準にもなります。

 
介護が訪れるタイミングは人それぞれです。突然やってくることもあれば、ゆるやかにやってくることもあります。しかし、準備が足りないと今回のような緊急性の高い事案に陥りやすいので、注意が必要と言えるでしょう。

 
 
以上の3つのポイント、いかがでしたでしょうか。
親はどれだけ年齢を重ねても、可能な限り、住み慣れた場所で暮らしたいと考える方が多いものです。この記事が、そう考える親を支える皆様のお役に立つことができれば嬉しいです。

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