高齢者の見守り電話ヒアリング専門 ぐれいとふる・まざー

親の変化に気づく。介護はそこから。~ぐれいとふる対談 前編~

time 2020/08/03

親の変化に気づく。介護はそこから。~ぐれいとふる対談 前編~

「ある日突然親が変わってしまった」のではなく、「親が変わってしまっていたことに、ある日突然子どもが気づく」のです。
――ぐれいとふる・まざー

 
急病など突発的なことがあれば別ですが、原則として、ある日突然親が変わってしまうことはありません。あるのは「親が変わってしまっていたことに、ある日突然子どもが気づく」これだけです。
その原因を誰に何に求めるかはその人次第ですが、いずれにしても、その先には後悔が待っています。
当社ぐれいとふる・まざーの西山と福田は、「気づく」ことが大切であるとしています。親の何らかの変化を見落とさずに気づくことで、対応の仕方が分かってくるからです。

ぐれいとふる対談、前編は「親の変化に気づく。介護はそこから」と題して二人が話を進めています。
 
どうぞお読みください。
 

「難しいかもしれませんが、他人を見る目で見てみることが大切だと思います」

―― 大事だなと感じたのが、気付くという部分です。親の体調や健康など、健康寿命を長くという観点で、異変に気付くとその後の生活の質は全然違ったものになるのかなと思います。でも、気づくのは難しい気がしますのでそのあたりのことを教えてください。

福田 家族だと、どうしても何かのフィルターがかかるというか、少し割り引いて見てしまいます。自分の親は若く見えたりしますよね?それと一緒でそういう自分の「家族割」フィルターのようなものが働いていると思います。

―― 他人というか、家族ではない方であれば気付く部分もありそうですね。

福田 そうなんです、たぶん、近所のおばちゃんを見て、「ああ、あの人だいぶ老けたな」と思うことができますが、自分の親を見て「老けた」とは、なかなか思いませんよね。一緒に暮らしていて毎日親を見ていたら慣れてしまって変化に気付かないことが多いと思います。一緒に暮らさなくなって、会わない期間ができて、久々に実家に行ったら「あれ? おかしいぞ?」となるような。

―― 親御さんと一緒に生活している子供さんとそうでない子供さんとの違いが大きいのかなと思います。だからといって、意識して気づこうとしないと、たまにしか実家に帰ってこない子供でも何も気付かないでしょうね。そういうのもあり、でも、気付こうとしないとっていうことですよね。

福田 そうですね。ケアマネジャーをしている知人の男性は、自宅で祖父を看取りました。ケアマネジャーなので、おじいちゃんを優しく見る目と、すごく冷静に見る目を持っていました。冷たいというと言い方が悪いですが、とても冷静におじいちゃんを観察していました。

―― 孫としてではない、ある種の冷たさですね。

福田 彼は、「おじいちゃんは今までこういう病気をしてきた」、「今までできていた動作がここまでできなくなっている」、「今後はこういうふうに状態が悪化していくだろうな」、「一緒に過ごせる残り時間はこのぐらいだろうな」など、冷静に予測した上で、家族で話し合い、静かに家で看取ろうとする方針を決めました。その上で、高齢の両親にかわって、夜の付き添いは若い孫たちがするとか、昼間は介護サービスも上手に使うとか、介護疲労を招かないようにバランスよく役割分担もしていました。

―― ご自身がケアマネジャーだからできたんでしょうね。

福田 はい。普通の男性で、おじいちゃん、おばあちゃんが病気で死にそうかもしれないとなったら、パニックになると思うんです。「何とか助かってほしい、早く病院に連れて行かなくちゃ」とか、「おじいちゃんはもっと元気なはず! 今日はたまたま具合が悪いんだけなんじゃないの」、とか。

―― なると思います。一般にはそれが普通の反応かなあと思います。

福田 でも、彼は「おじいちゃんのことをそんなに冷静に見られるの?」というぐらい冷静に見ていて「もう、これは看取りの段階なんだ」とはっきり言っていました。大切な家族だからこそ思う、「助かってほしい」からこそ発生してしまうフィルターを取っ払って、とても冷静におじいちゃんと、おじいちゃんを含む家族の状況を見ていました。だから家で看取るという、とても難しいことが淡々とできたんだと思います。

―― ということは、介護を仕事としてやっている方と比べたら大きな違いはあるにせよ、少なくとも家族や親しい身内の中で1人は介護周りの知識は持っておいたほうが良くて、俯瞰するというか、おじいちゃんと孫という間柄とは切り分けて、おじいちゃんを高齢者として見ることが大切なのかなあと思います。

福田 本当にそう思います。私も自宅で祖父を看取りましたが、福祉職になる前だったのでとても冷静にはいられず、家族全員が大パニックでした。渦中にいる、家族としての自分の目だけで見てしまうと「どうしよう、助けたい、もしかしたらよくなるんじゃないか」という思い込みが先にきて、目の前にある現実を冷静に見られずに認識が歪みがちになります。
難しいかもしれませんが、他人を見る目で見てみることが大切だと思います。

―― これって別に介護だけのお話ではなくて、子育てでも一緒で、例えば病気の場合も、明らかにご飯を食べる量がこの1カ月で減っているだとか、顔色が優れないとか、子育てでも一緒で、高齢者に限定されるお話ではないですもんね。

福田 子育てをする親もそうだし、それこそ生徒たちを見る学校の先生もそう、アスリートのトレーナーもそうですよね。気づいてあげなければならない立ち位置の方みんなに当てはまることだと思います。

 
「親は擬態するんです。それも綺麗に、外目からは見分けがつかないくらい」

―― 今の話でそういえばと思ったのが、以前、近所にお住いの方が「久しぶりに実家に帰るので、母親を銭湯に連れて行ってあげる」と、とても嬉しそうに言っていました。後日話を聞いたところ、兄から「母親は最近膝がしんどくなってきて、銭湯の低い椅子に座ったら立つのがしんどいので行かないほうがいい」とメールがあって、結局、銭湯には連れて行かなかったそうです。近所の方も自分の母親の膝がよくないというのは知っていたはずなんですが、たぶん、そこまで気が回ってないんです。

福田 お風呂に連れてってあげたら喜ぶと思いますもんね。

―― そうなんですよ。広い銭湯でゆっくり温まって体が楽になっていいだろうなと思っていたはずで、でも、母親をより知っている兄から見ると「膝がしんどいから銭湯は難しい」という判断になるんです。そういう意味ではやっぱり普段からきちんと、それこそ冷静な目で見ておかないと、難しいですよね。

福田 そうですね。同じ「膝が痛い」でも、歩ける痛さなのか、座るときはすごいしんどいとか、歩くときにどこかを触るようになってきたとか、細かくチェックできているかどうかというのは重要だと思います。
それと、もしかしたら、離れて住んでいる弟さんが久しぶりに来たら、お母さんはテンションが上がってスタスタ歩いているかもしれないですよね。

―― その絵がすごく想像できます(笑)

福田 親は、意識的か無意識かは分かりませんが、久しぶりに会う我が子に弱っているところは見せたくないという思いが働き、急にスタスタ歩いて「大丈夫」な姿を見せようとします。これって「親あるある」なのですが、親は擬態するんです(笑)。それも綺麗に、外目からは見分けがつかないくらい。

―― うまいこと言いますね(笑)でもホントそうなんです、それこそ外には本当の自分を見せないというか、擬態ですよ、まさしく。でもそれは擬態しちゃ駄目ですよと親に言うよりも、擬態する親を理解しようと努めることが大切ですよね。

福田 そうですよ。擬態できるということは、考え方を変えれば、最大値がそこまでということなんです。「やろうと思えばそこまでいけるけど、普段はこのぐらいですよ」という、一種のシグナルですね。そのシグナルを分かっていると、お風呂に行けるレベルなのかどうかも判断ができるようになります。

―― その意味では、ある程度一緒の空間にいる時間が長くないと分からない難しさもありますが、でも、たまに会うから違いに気づきやすいこともありますしね。

福田 そうですね。顔色の変化とか、体型が変わってきたとかだと、ずっと見ていると意外と分からないこともあります。

 
「アップデートをせずに母親ver2.0のままでいると、本来やるべきことから逸れてしまいます」

―― 両立てが大事ですね。いつも近くにいる息子、娘、少し離れて暮らす息子、娘でたまに会う。そしたら、それこそ「いや、お兄ちゃん、お姉ちゃん、最近お父さんこうなんじゃない?」とか、違う角度で見えますもんね。

福田 それぞれの角度から得たことを共有するといいですね。福祉職の人たちは1人の利用者さんにたくさんの専門職が関わりを持って情報を共有しながら利用者さんを助けるチームをつくっています。例えば、ヘルパーさんは利用者さんの家に入っていく仕事なので、家の中を見て「最近こたつの周りに物が集中しているなあ。もしかして動けなくなってきてるんじゃないかな」と気付きます。
デイサービスに行くとテンションが上がって元気になる人も多いので、デイサービスでは「前とあまり変わりがないように思えるけど、最近は何だかズボンがちょっと汚れている日があるね」と別の気付きを持っています。

―― それぞれの立場だからこそ、気づけることがあるということですね?

福田 そうです。それぞれの職種や、関わりの場によって、視点も違いますし、気づく内容も変わってくるので、そういう情報をケアマネジャーさんが集めていって、今の利用者さんの本当の状態はどんな状態かな? もしかして悪くなってきてるのかな? どんな助けがあるといいかな? と本人に合ったケアプランを作り直します。そして、関わる専門職に情報共有をして、今の利用者さんに合った支援の方法にアップデートしていきます。
これは福祉職に限った話ではなくて、家族間、親族間でも同じように、それぞれがそれぞれの立ち位置から気づき、その気づきをみんなで共有しておくといいと思います。

―― アップデート(笑)なんだかアプリみたいですね。

福田 そうなんですよ。本当は「母親ver3.0」なのにアップデートをせずに「母親ver2.0」のままでいると、本来やるべきことから逸れてしまいます。さきほどの銭湯のお話のように、母親を銭湯に連れていくことが良い判断だと思ってしまうんです。アップデートすれば「本当は連れて行かないほうがいい」という判断になります。
家族・親族それぞれが気付き、それらを共有して、常にアップロードができる体制をつくっておくことが大切ですね。難しいですけどね。

 
後編はこちら→親を気づく客観的な指標とその不足部分を理解する
 

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