高齢者の見守り電話ヒアリング専門 ぐれいとふる・まざー

親を気づく客観的な指標とその不足部分を理解する~ぐれいとふる対談 後編~

time 2020/08/05

親を気づく客観的な指標とその不足部分を理解する~ぐれいとふる対談 後編~

 
ある日突然親が変わってしまったのではない。親が変わってしまっていたことに、ある日突然子どもが気づくんだ。

言い得て妙のこの言葉をテーマとして、前編では、親の変化に気づくことの大切さをお伝えしてきました。

前編はこちら→親の変化に気づく。介護はそこから。

 
ぐれいとふる・まざーの西山と福田の話はまだまだ続きます。

後編では、気づくための手段として、介護保険法の基本チェックリストのことやそれの不足している点、第三者目線での気づきなど、息子・娘世代の「動き方」が中心になっています。

前編に続き、とても大切な内容ですので、ゆっくりとお読みください。

 
 
「階段をスタスタ昇るのと、どうにかこうにか昇るのとでは、意味合いがかなり異なります」

―― アップデートができる体制づくりの「いの一番」は親のちょっとした変化に気づくことであって、まずはそこから始めていただくのがいいですね。

福田 そうですね。介護保険法にある介護予防(要介護になることを防ぐ・遅らせる)の観点で、「基本チェックリスト」というものがあります。「最近出かけていますか」とか「階段では手すりなどを触っていますか」など、25項目程度の質問です。私は高齢の家族に会うときに、ついつい頭にそのチェックリストを浮かべて「うんうん、変化なし」とチェックしています。こういったチェックリスト等を使うのもありかもしれません。

―― このチェックリストも含め、何か客観的に判断ができる材料があればらやりやすいですよね。

福田 はい。何か指標になるものがあったほうが良いのかなと思います。

―― あとは客観的な指標に対して「どれだけの程度でできているか」も重要になるのかなと思います。たとえば、基本チェックリストに「階段を手すりや壁を伝わらずに昇っていきますか」とありますが、これも実際のところ、階段をスタスタ昇るのと、どうにかこうにか昇るのとでは、意味合いがかなり異なりますもん。

福田 そうなんです。階段で手すりは触らないけど、膝に手をつけば上がれるという人もいて、ケアマネジャーさんはそこまで聞きますが、膝を触って昇っているとか、立つときにちょっと勢いをつけているとか、実際の状態は見るところが結構細かいんですよね。

―― 本当に必要なのはそこの差を見極めるということですものね。でもこの基本チェックリストのような客観的な指標になるものって汎用性が高いので、どうしても捉え方が甘くなってしまいますよね。結局、その人ごとで見極めなければ意味がないですからね。

福田 そうですね。基本チェックリストには、例えば耳とか目のことがあまり書かれていないんです。私が接した高齢者には「そういえば5年ぐらい前から目がよく見えないんだよね」とか「だいぶ前から白内障になっていたぞ」という人や「60歳ぐらいから耳がよく聞こえていなくて、高い補聴器買ったけど使っていない」とかいう人もいらっしゃいました。五感が元気かなというのも重要です。

―― 五感が十分機能しているってめちゃくちゃ重要で、十分機能していないとそれは何か支障が出てきているはずですもんね。

福田 そうなんですよ。耳が聞こえなくなってきたら、そのまま聞こえが悪くなって、コミュニケーションが取りづらくなっていって、気付いたら認知症になって意思疎通ができなくなってしまったというケースもありました。電話を嫌がるのであまりかけないでいたら、もう失聴していました、認知症が進行していましたというケースもありました。そうならないように、例えば早めに文字でのやり取りをする方法を取り入れてみるなどのコミュニケーションの取り方の切り替えをしていく必要があります。

筆談も選択肢に入る


「全部自分だけで対応するのは、早晩無理が出てきます。」

―― ほかにも、基本チェックリストに「心の状態」とありますが、これって実際には分からないですよね。元気に振る舞う、それこそ擬態するということで言えば「ここ2週間これまで楽しんでやれていたことが楽しめなかった」、おじいちゃんとかやったら「いいえ」とか、「わしはいつも楽しい」みたいな、外に行ったらそんな話しそうじゃないですか。

福田 あとは、この手の内容って、紙に書いてもらうよりも関わる側の人がこういうチェックを頭に置きながらしゃべったり、一緒にご飯を食べたりして観察するといいと思います。

―― そのほうが行間が読めますもんね。

福田 心の問題でも身体の問題でも、行間を読むことのほうが重要で、たとえば、お茶とか汁物でむせるとかも、昔からむせやすい人なのか、むせやすくなってきたのかでも意味合いが違います。食欲が落ちて食べなくなってきたのと、入れ歯が合わなくなって、外してしまってうまく食べられないでも状況が違います。また、何で入れ歯が合わないまま放置しているんだろうとか原因を探っていくと、実は膝が痛くなって歯医者まで歩けなくなったとか、予約の電話の入れ方がわからなくなってきたとか、いろいろ出てくると思うんです。

―― そうですね。だからこのチェックリストを使うことも含めて、息子さん、娘さんが自分の親御さんのことに気付きやすい環境を整えることが大切で、ということはやっぱり親とめったに会わないとか話さないとかいう選択肢はなくなってきますよね、会わないと、話さないと分からないですもんね。

福田 何とかして、何か接点を持っていたほうがいいと思います。現実的に、仕事で忙しかったり、遠方に住んでいるのでそうそう実家に帰省できなかったり、というのはありますので、人の手を借りるという選択肢を持つことも大切になると思います。と言いますか、全部自分だけで対応するのは、早晩無理が出てきますしね。

―― それでいくと、われわれの見守り電話サービスの存在がかなり重要になってくるのかなと思います。このサービスをご利用いただくお客様(息子さん、娘さん)に強くお伝えしたいのは、親御さんとのお電話の報告の仕方として、そのお電話を収録して音声ファイルをお送りするんです。それを聞いていただくことで、いろいろお客様にも気付いてもらえる部分があっていいかなと思ってます。親御さんがわれわれと話している感じを聞くことで「あれ、ちょっと違うな」とか、それが分かる部分があると思うんですよね。

福田 うん、とても大切ですね。われながら良いサービスだなあと思います(笑)あとは、私たちと話す時、親御さんはある程度テンションが上がった状態で話すと思うんです。お子さんと話す時とは違うはずですので、お客様はその落差で何か感じるものもあるかもしれませんね。

―― 本当ですね。親御さんにはある種の非日常、楽しみなこととして思っていただけるのと、お子さんには気づきを得る手段として使っていただけますので、有用だと思います。

福田 もしかしたら、親は何もできないとか、年をとって駄目だというマイナスに思っている人が、「こんなに元気なときもあるんだな」って思うこともあれば、「ああ、外の人にこういう感じになるのはおかしいな、前と違うなって」思う人もいるかもしれないですね。

親が元気で笑顔


「当然、現役世代の息子、娘世代からすると自分の生活がある中で実際には大変とは思いますが、でも、あなたの親ですよ、と。」

―― ということはやっぱり何かの規則性を持って親に触れる、電話の音声を聞くこともそうですし、会うことも、電話で話をすることもそうですが、何か違いがわかるように定期的に、規則性を持って接触しないと分からないので、特に遠くに住んでらっしゃってすぐに帰れないような距離感でしたら、なかなか難しいですね。

福田 距離感があるとどうしても、最後に会ったときの様子が、そのときの親のイメージが保存されますよね、パソコンのファイルのバックアップのような感じで。だから、「今は違うよ」って、「もうバージョン変わっているよ」と、どんどんイメージを更新していく必要があると思います。

―― ほんとそうですよ。いつまでも、お母さんは「あの日のお母さん」ではなくて、着実に老化してきているわけですからね。

福田 同じ家族の中でも、単身赴任で長年不在がちの父が持っている母のイメージや、遠くに嫁いだ娘、遠くで働いている息子のバージョンはかなり古く、10年ぐらい古いイメージでいることもあると思います。逆に、月1~2回でも定期的に会っている子の場合は、更新ができるからバージョンが新しいんです。会っていない間に、膝が痛いとか、腰が痛いとか変わってきているので、バージョンが違うと、入院したとか、状況が変わったときにトラブルになりやすいんですよね。

―― バージョンを正しく認識しておかないと、話が合わないんですよね。

福田 話が合わないんです。バージョンの古い人は自分の持っているイメージとの落差が大きいのと、現状が分からないので「何でいきなりこうなったの?」「何で介護保険使わなきゃいけないの?」とパニックになってしまいますよね。

―― 地域包括支援センターにいた時も、同じような経験ってありましたか?

福田 はい。保健師さんだったり、サービス事業者だったり、地域包括支援センターだったり、民生委員さんだったりが時期をずらして会いに行って、「今回はこんな感じだったよ」とか情報を共有していました。認知症の1人暮らしの方で、体は元気で、今のところ出かけても家に戻れているよという方が、ある日道に迷い始めた、道に迷うような様子が見られたら、見守りの頻度を密にしたり、家族に連絡をとるとか、次の手を打っていく必要があります。でもこのケースに関わるチームの、誰か1人でもバージョンが古いと動きが回らなくなってしまいます。

―― つまり、チームが古い情報を共有してしまっているということですね。

福田 そうです。もうリスクが見えてきているのに、1人でも、「あの人はまだ元気だから大丈夫」と思っていると、見守りの網目からぽろっと落ちて、気付いたら警察に保護されていたというルートにいってしまうこともあります。

―― そう思うと介護者の方は職業としての介護という観点で、ご家族の方ならご家族の観点で、やはり見る側の努力が必要ということですよね。当然、現役世代の息子、娘世代からすると自分の生活がある中で実際には大変とは思いますが、でも、あなたの親ですよ、と。最終的にはそこに戻っていきますよね。

福田 早めに気づかないと、あとがほんとに大変だと思います。ゴミ屋敷になっちゃった、行方不明になってしまったとか、大怪我をしてしまったとか、または最後に会えたのは余命宣告されてからだった、では辛すぎます、いうことですね。そうならないためにも、自分なりの親のチェックポイントを見つけつつ、まめな「アップデート」を心がけていただけたらと思います。
 

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