2020/05/02
以前、『福祉用具を見直してみませんか?』というテーマでお伝えし、
『介護ベッド』のこともお伝えしました。
今回は、重要度の高さでは介護ベッドと双璧をなす『車いす』について、お伝えしたいと思います。
車いすをレンタルする場合、車いす本体と、必要に応じて車いす付属品のクッションも別途検討します。
介護で使用する車いすの種類としては、
〇自走型
タイヤが大きくて、乗っている本人が自分の手でこぐことができる
〇介助型
タイヤが小さくて、比較的軽量で幅がコンパクト
〇リクライニング/ティルトリクライニング型
大型で、背もたれ角度や背もたれ+座面の角度も変えられる
〇電動車いす/電動カート
スティックやハンドルで方向を自在に操作し、電動で動く
があります。
いずれの種類を用いるにしても、どの車いすが合っているか、重々検討して選んでいただく必要があります。
体格に合っているものを選ぶ、ということを大前提として、選んでいただく際の考え方をお伝えします。
車いすを使う目的を考える
車いすをただ移動手段として使用するのか、移動+日中起きている時間や食事の際に座る椅子としても使用するのかで選び方が変わってきます。
移動のみに使用する場合には、体に合うということよりも、コンパクト・軽量であることや折りたためることなどが重要視されます。特に、通院や外出時に車で持ち運ぶ可能性がある場合には、車に入るサイズを確認することをお忘れなく。
長時間座る方の場合には、より安楽に座れるものを選び、とりわけクッションの選定を重要視してください。比較的動ける方や、皮膚状態に問題がない方には、ウレタン製の安価なもので大丈夫です。
介護度が重度で、床ずれの心配がある方には、おしりの負担を減らすために空気やゲル性の細かく調整できるクッションを選びましょう。
使う方の体の状態・能力を考える
本人が自力で手を使ってこぐ場合には自走型、介助者が操作する場合には介助型を選ぶと良いでしょう。また、自力で座り直しができず、座っている姿勢がズレやすい方や床ずれの心配がある方は、より寝ている姿勢に近づけるティルトリクライニング型車いすが合っています。
そして、見落としやすいのが、足を乗せておくフットレストとひじ掛けとなるアームレストの機能です。
立ち上がることが難しい方の場合、立ち上がりや乗り移り動作を介助者が手伝う必要があります。双方の負担や怪我のリスクを減らすためにフットレストやアームレストを動かせる車いすを選びましょう。
使う場所を考える
車いすを使う場所は、家の中だけなのか、外出時のみなのか、はたまた広い場所のみでの使用か、家の中の廊下は狭いのか、なども重要なポイントです。
使う場所が広い場合は、問題ありませんが、家の中で使用し、特に廊下やドア幅が狭い場合には、車いすを選定する際に、家の動線上のサイズを図ることを忘れないでください。
座面、フットレスト、ひじ掛けの高さを考える
フットレスト(足を乗せておくところ)は車いす移動時のつまずきをなくすために、床から5cm上の位置に設定します。
座面の高さは、立ち上がりやすいように座った状態で膝からくるぶしの長さ+5cm程度。そして、座った状態でフットレストに足を乗せた際、太ももの裏が座面に軽く触れる高さにフットレストを調整します。
ひじ掛けの高さは、姿勢が前かがみになっていないか、肩が上がっていないか、などを見て一番楽な姿勢になれる高さを探します。
その他にも、車いすでは調整すべき箇所が数多くあります。その全ての箇所を車いすに乗る方の体格や使い方に合わせて正しく調整することにより、普段の姿勢が変わったり、立ち上がりやすくなった・いつもよりごはんをたくさん食べてくれるようになった、などの変化もみられるようになります。
いかがでしょうか。考えるところが多いですね。
車いすを選ぶ際の判断材料はたくさんありますので、細かなところは当社やお近くの福祉用具専門店に任せるとして、これらをしっかりと考慮した上で選んでいただきますと、大切なご家族の“言葉にならない苦しみ”に気が付くことができるかもしれません。
ぜひご参考になさってください。