2020/05/02
高齢者にとって膝の痛みといえば、誰もが経験するお悩みの1つ。「もう歳だからしょうがない…」と言いたくなるのはごもっともではありますが、その痛み、どうして起こるかご存知でしょうか?
ぐれいとふる対談、第2弾。今回は「膝の痛みへの対処」について、当社ぐれいとふる・まざーの西山と広瀬が、先般公開した下記の記事の内容を踏まえて、痛みの原因と効果的な対処を追究していきます。
どうぞお読みください。
「膝が痛いことそのものよりも、膝が痛いことで動きづらくなる影響のほうが大きい」
―― 以前、広瀬さんに、変形性膝関節症になる原因の部分、薬による影響等、そういった膝の痛みに対処するためにどういうふうにすればいいかというのをお書きいただきました。改めて、変形性膝関節症がどういったものかを教えてください。
広瀬 変形性膝関節症は、加齢によって、膝の軟骨、骨と骨、太ももの骨と膝の骨がぶつかるところの軟骨がすり減っていって、炎症が起きて痛みが出るといった疾患です。
―― これは何がしかの理由で、ある日突然、内臓がおかしくなるのと同じように、いわゆる病気としておかしくなるのか、それとも長年の蓄積から誰しもがなるようなものであるのか、大きくはどちらになるんですか?
広瀬 大きくは後者です。徐々にすり減っていって、誰しもがなってしまう可能性がある疾患です。
―― では、若い世代に比べて、高齢の方から膝が痛いという声がよく聞かれるというのは、自然なこと、ある程度、起こりうることということですね。
広瀬 そうです。歩くときにどうしても膝に負担がかかってしまいますので、誰しもがなる疾患ですね。
―― そういう意味では、膝が痛いとおっしゃっている親御さんのお子さん世代には、ややこしい病気ではないという意味では安心していただいて良いということですね。
広瀬 そうですね。的確に処置をしていくと痛みが軽減していきます。
―― 変形性膝関節症になることで、どういった状況が高齢者の方に起きるんでしょうか?
広瀬 まず、立ち上がりにくくなったり、歩いたり階段を上ったりしたときに、痛みがズキっとくるのでだんだん動くのが億劫になってきてしまう。それでどうしても閉じこもりがちになってしまったり、生活範囲がかなり狭小化してしまいます。
―― 膝が痛いことそのものよりも、膝が痛いことで動きづらくなる影響のほうが大きいということですね。
広瀬 もちろん、痛み自体がとれることが一番良いんでしょうが、だんだん体が弱くなっていってしまう「とっかかり」になることは間違いないと思います。
「変形性膝関節症の知識を深めておくのが大切」
―― よく部活でスポーツをやっている方が、半月板の損傷などで部活を休まなきゃいけなくなって、というお話を聞きますが、この変形性膝関節症と半月板の損傷とは、どういう違いがあるんですか?
広瀬 先ほど変形性膝関節症をざっくりと説明したときに、太ももの骨とスネの骨の先端に軟骨がついていて、軟骨がすり減ってしまう病気と説明したんですが、その軟骨と軟骨の間に座布団みたいな形でもう1つ軟骨があるのが、半月板といわれるものなんですね。その半月板が怪我をしてしまうことで半月板損傷になります。ですので、部活で膝を伸ばして体重を乗せているときに、ひねってしまったり、外から力が加わって変な方向に曲がってしまったようなときなどに起こしやすいのが、半月板損傷になります。
―― 半月板損傷は治るものなんですか?
広瀬 治ります。軟骨自体が、怪我のように治っていくというパターンもありますが、断裂とか、もう切れてしまったということになると、手術が必要になってしまいます。
―― いっぽうで、変形性膝関節症は治るものなんですか?
広瀬 変形性膝関節症は骨自体が変形するものですので、悪化することはあっても、治るというものではないんです。
―― それでは、変形性膝関節症で膝が痛い状態というのは、今が一番良い状態というか、あとは、良くならない状態になるのをいかにして防いでいくかが大切ということですね?
広瀬 そうですね。進行をどれだけ防げるかというところになってきます。裏技として手術があるような感覚ですね。
―― 極力、痛みを感じない状況を作り出して、動けるようにしていくかということですね。
広瀬 そうですね。
―― 広瀬さんは原稿で、膝の痛みの原因疾患として1番から5番と書いていただいていますが、ほとんどが変形性膝関節症で、あとは非常にイレギュラーなケースということに当てはまるんですか?
広瀬 高齢者の方で膝が痛いとなると、整形外科の医療関係の人だったら、まずは変形性膝関節症を疑うところですね。
―― では、早く対策を打ったほうが良いということですよね。
広瀬 変形性膝関節症の知識を深めておくことが大事だと思います。
「生活習慣病、脳卒中や糖尿病、ガンなど、そういったところに影響を及ぼしていくとっかかりの関節疾患と考えらていいと思います。」
―― 介護認定審査で、「要支援」認定になった原因の1位が関節の疾患ということなんですが、意外や意外と言いますか、例えば、内臓の疾患であったり、年齢を重ねるからこその疾患がほかにもいろいろ出てくると思うんですけれども、関節疾患が1位になる。つまり、変形性膝関節症によって支援を受けなければいけない状況になるっていうのは、やはり動けなくなるということなんですかね。
広瀬 関節の痛みで外出できなかったり、生活範囲が狭小化してしまうと、歩く機会がかなり減ってしまい、筋力が低下したり、運動をしない分、体重が増えていってしまう。脳みそ的にも、人と会話がなくなったり、ご飯の支度などの買い物で何を買わないといけないかとかなど、考えることが少なくなってきますので、認知症になりやすくなる。体的には、生活習慣病、脳卒中や糖尿病、ガンなど、そういったところに影響を及ぼしていくとっかかりの関節疾患と考えていいと思います。
―― やっぱり動けなくなると、心身がより不健康になるといいますか。認知症も心の病と呼ばれるものも、もともと心じゃなくて脳ですもんね。動けなくなることによって人との接触がなくなれば、脳は少し良くない方向に働きますよね。
広瀬 やはり外に出て、人との会話をしなくなってしまうと、どうしてもやっぱり脳みそを使いませんから。体にしてもそうですし、頭にしてもそうなんですけど、使わなければ、だんだん要介護のほうに近づいていくのではないかなと思います。
―― それでなくても年齢を重ねてきて高齢になると、もともと現役世代と比べて、そんなに動きが多いわけではないですもんね。膝のせいで、そこに加えてさらに、ということになってしまうわけですね。
広瀬 特に膝となると、歩くたびに痛くて、どうしても歩く動作を敬遠しがちになってしまうので、生活が狭小化してしまいます。
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by 膝の負担を減らす 筋トレ・運動~ぐれいとふるリハビリ対談 後編~ | 高齢者の見守り電話ヒアリング専門 ぐれいとふる・まざー 2020年10月15日 2:55 PM